人生を愉しく


by tabotaboy
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裸形

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   光太郎の智恵子を恋し愛する思いの深さ、その気持ちが良く伝わってくる詩を
  もう一篇紹介します。

「裸形」

智恵子の裸形をわたくしは恋う

つつましく満ちてきて

星宿のように森厳で

山脈のように波うって

いつでもうすいミストがかかり、

その造形の瑪瑙質に

奥の知れないつやがあった

智恵子の裸形の背中の小さな黒子まで

わたくしは意味ふかくおぼえていて、

今も記憶の歳月にみがかれた

その全存在が明滅する。

わたくしの手でもう一度、

あの造形を生むことは

自然の定めた約束であり、

そのためにわたくしは畑の野菜が与えられ、

米と小麦と牛酪とがゆるされる。

智恵子の裸形をこの世にのこして

わたくしはやがて天然の素中に帰ろう。


愛され、思われて、何時までも余韻を残す智恵子、その余韻にひたる光太郎・・・・相思相愛の二人・・・・読む者にも切ない余韻を残します。
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by tabotaboy | 2007-06-24 14:21