カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

レモン哀歌

a0099646_1582112.jpg



       愛する智恵子の最期の時を、光太郎はこう詩っています。



      「レモン哀歌」

      そんなにもあなたはレモンを待っていた

      かなしく白くあかるい死の床で

      わたしの手からとった一つのレモンを

      あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

      トパアズいろの香気が立つ

      その数滴の天のものなるレモンの汁は

      ぱっとあなたの意識を正常にした

      あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑う

      わたしの手を握るあなたの力の健康さよ

      あなたの咽喉に嵐はあるが

      かういふ命の瀬戸ぎわに

      智恵子はもとの智恵子となり

      生涯の愛を一瞬にかたむけた

      それからひと時

      昔山巓でしたやうな深呼級を一つして

      あなたの器官はそれなりに止まった

      写真の前に挿した桜の花かげに

      すずしく光るレモンを今日も置かう。



    前回、前々回と、高村光太郎が愛する智恵子への思いを詩った
    3篇の詩をを紹介しました。

    これらの詩を読んで、どのように感じられましたでしょうか。
[PR]
by tabotaboy | 2007-06-26 15:34